生殖内分泌入院
診療内容
不妊症の原因究明のために、またはその原因にもなる良性婦人科疾患(子宮筋腫や子宮内膜症など)の治療に、腹腔鏡や子宮鏡、卵管鏡による手術を積極的に行っております。
体外受精・胚移植につきましては、日帰り入院にて対応しております。
習慣流産・不育症患者さんの妊娠経過によっては、入院による集学的管理を周産期グループと共同で行っております。
腟欠損に対する、人工真皮を用いた造腟術にも対応しております。
不妊症に対する、腹腔鏡下検査・手術
当科では、一般的な不妊治療や体外受精・胚移植だけでなく、不妊症の原因を調べるための系統的な腹腔鏡下検査・手術を積極的に行っております。必要な場合は、子宮鏡や卵管鏡も併せて施行します。
腹腔内を生理食塩水で洗浄するだけでも、その後の妊娠率が上昇するというデータが存在しますので(Marcoux S、1997)、なかなか妊娠に至らない患者さんにおきましては、試してみる価値のある方法です。そして妊娠された方の多くは、術後半年以内に自然妊娠されています。
クラミジア感染症などによる骨盤内炎症により、術前より腹腔内の癒着、特に卵管采の癒着(卵管の先がくっついている)が疑われる場合は、癒着を確認した後に、癒着剥離や卵管采形成術を施行いたします。完全に卵管が閉塞している場合には、部位にもよりますが、卵管鏡による卵管再疎通術にも対応しております(保険適用あり)。
子宮内膜症がある場合には、系統的な治療とともに、癒着の程度によっては卵巣の位置移動など、将来の生殖補助医療(ART)を見据えた治療も行っております。
多のう胞性卵巣症候群(PCOS)のために排卵障害のある患者さんには、KTPレーザーによる卵巣多孔術(卵巣にたくさん小さい穴を開けて排卵しやすくする)を施行し、妊娠率を向上させています。
不妊症の原因が不明の患者さんにも、腹腔鏡により術前に診断できなかった子宮内膜症や卵管周囲癒着が見つかることがあります。その場合も、診断と同時に治療を行うようにしております。
また開業医の先生からの、腹腔鏡下検査・手術目的の御紹介も積極的にお引き受けしております。
将来の妊娠・出産を考慮した、婦人科良性疾患に対する手術
婦人科の良性疾患(子宮筋腫、卵巣のう腫、子宮内膜症など)に対して、腹腔鏡を用いた治療を積極的に行っています。また子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫などに対しては、子宮鏡(レゼクトスコープ)を用いて、子宮の中を観察しながら治療を行います。傷が小さいため美容的にも優れ、術後の腹腔内癒着も少ないため、特に未婚の女性には将来の妊娠のことも考えるとおすすめです。いずれも入院日数は3-6日で、痛みも少なく、退院後は早期の社会復帰が可能です。
人工真皮を用いた造腟術
生まれつき腟が存在しなかったり、何らかの炎症や外傷のために腟壁がくっついて塞がってしまった患者さんに対して、人工真皮を用いた腹腔鏡補助下造腟術を行っています。十分な長さと広さの腟が得られるとともに、他の造腟術に比較して傷も小さく、身体的負担が少ないのが特徴です。また当院では、造腟術を毎年4-5症例に行っており、臨床経験も豊富です。
習慣流産・不育症の集学的治療
当科では、流産や死産もしくは子宮内胎児発育不全(赤ちゃんが大きくならない)を繰り返す習慣流産・不育症の診断および治療に力を入れています。
抗リン脂質抗体症候群などの血液凝固異常を(血液が固まりやすい)伴う症例には、抗凝固療法として、低用量アスピリン・ヘパリン(ヘパリノイド)療法を行っており、良好な妊娠継続率を得ています。ヘパリン自己注射を希望された場合には、妊娠が判明した時点からヘパリン療法を開始いたしますが、入院された上でヘパリン自己注射の練習と副作用のチェックをいたします。手技を身に付けられましたら退院とし、以降は当科外来での妊娠管理となります。
ステロイド療法は、ステロイドホルモンによる副作用や早産リスクの上昇もあるため、低用量アスピリン・ヘパリン療法が無効な症例を中心に施行しております。妊娠判明時より内服を開始いたしますが、副作用の問題もあり、約1-2ヶ月間入院していただくことになります。
上記治療にもかかわらず、当科外来で妊娠経過が思わしくないと判断された場合には、直ちに入院いただき、集学的治療を開始いたします。周産期グループと共同で妊娠週数や胎児の発育状況、母体の状態を総合的に判断しながら、妊娠および出産に至るまでの管理を行います。-6日で、痛みも少なく、退院後は早期の社会復帰が可能です。
施設紹介
入院棟の西4病棟と東4病棟にて診療を行っております。
詳しくは、岡山大学病院サイトの施設案内をご覧ください。