岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 産科・婦人科学教室

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遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)に関する診療

遺伝性腫瘍へのとりくみ

遺伝性乳癌卵巣癌(Hereditary breast and ovarian cancer : HBOC)について

卵巣癌(ここでは卵管がんおよび腹膜がんを含みます)の約2割が遺伝性であると報告されています。その中でもBRCA1またはBRCA2(BRCA1/2)遺伝子の病的バリアントに起因する遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer : HBOC)は卵巣癌の約15%と最も高頻度にみられます。HBOCでは個別化医療によるがんの早期発見・予防・治療が可能となってきています。

当院では、遺伝子診療科、乳腺外科、消化器内科、泌尿器科などと連携し、病院一丸となってHBOC診療に取り組んでいます。HBOCについての詳しい情報はこちら

BRCA1/2遺伝学的検査について

2020年4月より卵巣がんにかかった方は、組織型や進行期、年齢等に関わらず、また過去に卵巣がんにかかられた方も含めて全員に対して、BRCA1/2の遺伝学的検査が保険収載されました。当科でもBRCA1/2遺伝学的検査を原則保険診療として行います。

当院以外で卵巣がん治療を行っている方、または血縁者に卵巣癌の方がいてご心配な方や主治医がない方は、当院臨床遺伝子診療科までご相談ください。予約方法はこちら

リスク低減卵管卵巣摘出術(risk-reducing salpingo-oophorectomy: RRSO)について

当院では2015年より学内倫理委委員会の承認のもとにHBOCの方に対するリスク低減卵管卵巣摘出術(risk-reducing salpingo-oophorectomy: RRSO)を行ってきました。

当初は自費診療で行っておりましたが2020年4月より一部保険承認されました。

RRSOを検討する方からの直接のご予約は承っておりませんので、必ず主治医と十分にご相談いただき、紹介状を持って受診ください。予約方法はこちら

なお主治医がない方は、当院臨床遺伝子診療科までご相談ください。予約方法はこちら

RRSO後のヘルスケアについて

RRSOは卵巣がん予防のためにとても重要な手術ですが、早期に卵巣機能を失うことへの不安も伴います。私たちはその不安に寄り添い、RRSO後にQOLや健康寿命を保つことにも十分な注意を払っています。乳がんの既往がありホルモン剤が使えない方にも対応しています。

  • 更年期症状を和らげるお薬やサプリメントの使用
  • 骨粗しょう症や高脂血症などの定期検査と治療
  • 性機能障害への対応

など

なおRRSO後も頻度が非常に少ないながらも腹膜がんへの注意が必要で、ヘルスケアとともに慎重に観察して参ります。

RRSOを現時点で希望されない方のフォローアップについて

卵巣がん予防には現時点ではRRSOが唯一効果的な方法ですが、様々な事情により手術を選択されない方もいらっしゃいます。そのような場合は、状態や年齢に応じて専門医師によってきめ細かく丁寧に観察していきます(サーベイランス)。

HBOC以外の遺伝性腫瘍について

医学の発展により、BRCA1/2以外の遺伝性卵巣癌に関与する遺伝子や、子宮体がんに関わる遺伝子なども分かってきました。遺伝性腫瘍は複数のがんのリスクを持っていることが多く、婦人科がんを治療した後も次のがんへの注意が必要になります。

当院では、多くの遺伝子を一括して調べる「マルチ遺伝子パネル検査」により、体質的ながんのリスクを知り、個人個人にあわせたがん予防法をご提案しています。

がんの遺伝性を調べるメリット

  • 効きやすい薬剤がわかる。
  • 他に注意すべきがんがわかり、体質にあったきめ細かい検査が受けられる。
  • 同じ体質を持つ血縁者(親、兄弟姉妹、子など)のがん予防に役立つ。

遺伝性腫瘍に対する体制の充実

遺伝性腫瘍の診療は、一つの科だけ、その時だけで完結するものではありません。当科では、婦人科の治療だけではなく、遺伝性腫瘍の体質そのものに焦点を当て、診療をすすめていきます。また関連各科と協働で継続的に診療にあたります。そのためのカンファレンスや研修も定期的に行っています。

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